オフショア開発の概要とおすすめベトナムオフショア開発会社5選

IT業界で働いている方であれば、オフショア開発という言葉を耳にする機会はたくさんあるのではないでしょうか。
オフショア開発は、他国にIT業務を依頼することで、コストを抑えることができるサービスです。

今回は、そんなオフショア開発の中でも、一番人気の依頼先国であるベトナムでのオフショア開発についての概要と、おすすめのベトナムオフショア開発会社を5社ご紹介させていただきます。

そもそもオフショア開発とは

オフショア開発とは、国境を越えた場所で行われるソフトウェア開発やシステム整備のことを指します。主に開発コストを削減するために、顧客の国とは異なる国にある開発センターに業務が委託されます。多くの場合、開発を担うのは、より低コストで高品質なサービスを提供できる国々のエンジニアです。

ベトナムオフショア開発のメリット

まずはオフショア開発のメリットについてご紹介いたします。

メリット①コスト削減

何より一番のメリットは、コストを削減できるということです。ベトナム人のエンジニアの人件費は、以前よりも上がっていることは確かですが、それでも日本のエンジニアをリソースとして使うよりコストを削減することができます。以下はそれぞれの国のエンジニアの人月単価です。

これはあくまで相場であり、会社の規模やエンジニアのスキル、地域、職種、市場によって異なってきますが、ベトナム人の単価のほうが安い傾向にあるということがお分かりいただけると思います。

メリット②優秀なIT人材

ベトナムでは、IT教育に非常に力を入れています。
1998年に規定された教育法に基づき、コンピューターの教育が学校でなされることが決定しました。このような経緯から、ベトナムには若いうちからITに触れ、技術を蓄積してきた人材が多くいます。

近年、日本ではIT会社で技術職として入社する社員の多くはIT未経験であり、入社してから研修や勉強の場などを提供するというのが主流になっていると思います。

一方で、ベトナムのIT会社に入社する人はほとんどがソフトウェア専攻の大学や専門学校の卒業生ですこのことから、ベトナムでは、会社が新入社員を即戦力として活用することができます。

ベトナム最大級のIT求人プラットフォームTOPDevのVietnam IT Market Report 2023によると、2023年時点で、ベトナム人エンジニアの人口は53万人いるといわれています。
※ソフトウェア専攻の大学や専門学校の卒業生は年間約6万人

また、世界開発者ITスキルランキングでは、アメリカ、イギリス、フランスなどに続きなんと世界10位でした。このような事情から、近年ベトナム人エンジニアの需要はあらゆる国の会社から非常に高まっています。

このように、優秀なベトナム人エンジニアをリソースにできるということは、オフショア開発のメリットといえます。

メリット③ベトナム人の国民性

ベトナム人の方々は、一般的に、親しみやすく、友好的な国民性を持っています。また、勤勉であり、仕事に対して真摯に取り組む姿勢を持っています。そして、ベトナム人は親日の方が多いです。

実際、ベトナムには多くの日本会社が進出しており、街を歩けば日本のバイクメーカーや日本の商品ブランド、日本食レストランなどを目にします。
日本向けオフショア開発会社に働いているベトナム人エンジニアの方で、アフタースクールに通って日本語を勉強しているという方も多くいらっしゃいます。
ですので、日本人にとって一緒に仕事しやすい国民だといえます。

メリット④時差が二時間

国が異なれば、時差を考えて連絡やMTGの時間の設定をしなくてはなりませんが、ベトナムの場合、時差が二時間しかないのでMTGの時間設定や連絡など、それほど気を使わなくて大丈夫です。

ベトナムオフショア開発の課題

次に、オフショア開発の課題についてご紹介いたします。

課題①言葉や文化の違い

オフショア開発を依頼するときには、オフショア開発側と言葉や文化の違いがあることを理解しなくてはなりません。

日本語を話さないベトナム人と会話するときには、翻訳者などを通じて翻訳が必要です。
そして、日本語を話すベトナム人と会話するときも、日本人特有の細かいニュアンスや表現によって、意味が正確に伝わらない場合もあります。
このような壁を乗り越えるためには、言語や文化の違いを理解し、伝わるような言葉選びを心掛けるとよいでしょう。

また、オフショア開発に欠かせない存在が、ブリッジSEやコミュニケーター、発注先の日本人社員の存在です。
彼らが、顧客側とオフショア開発側の間に立つことで、コミュニケーションが円滑になり、リスクを減らすことができます。
なので、事前にブリッジSE、コミュニケーター、発注先の日本人社員がこの重要な役割を全うしてくれるのか見極めることは非常に重要になります。

このように、言語化に気を使う必要性や、ブリッジSEやコミュニケーター、発注先の日本人社員とうまく連携する必要があります。

課題②品質への影響

既に述べたように、オフショア開発には言語の壁が存在します。
異なる言語を使用することでコミュニケーションが円滑に行われず、完成品の品質に影響を及ぼしてしまうといったリスクもあります。

これを防ぐために、はっきり相手に伝わる言葉を使うとともに、定期的に進捗の確認やフィードバックを行い、お互いの理解が合っているか確認することが重要です。

オフショア開発を成功させるポイント

オフショア開発を成功させるポイントをご紹介いたします。

ポイント①信頼できるパートナーの選定

オフショア開発を依頼する際のパートナーの選定は、非常に重要です。
確認するべきポイントをいくつか紹介させていただきます。

まず、パートナーの選定時に確認するべきは、その会社の実績や経験です。
特に、依頼するプロジェクトと同じ業界や業務内容の経験が豊富であれば、プロジェクトのスムーズな進行が期待できます。

次に、ブリッジSE、コミュニケーター、発注先の日本人社員の担当の方の確認です。
ブリッジSE(ブリッジシステムエンジニア)とは、顧客側とオフショア開発側の架け橋になり、プロジェクトを円滑に進める担当者です。
ブリッジSEは、国際的なソフトウェア開発プロジェクトにおいて、異なる国や地域の開発チーム間のコミュニケーションと協力を円滑にする役割を担います。特に、オフショア開発の文脈で重要なポジションとされています。

また、コミュニケーターとは、通訳者のことです。

彼らが、顧客の意図をしっかり汲み取って、オフショア開発側に伝えられるかどうか、相互の理解に相違がないかを見抜ける力の持ち主であるかは、パートナーを見極めるうえで大事な指標になります。

ポイント②コミュニケーションの工夫

オフショア開発側とコミュニケーションをとるときは、いつも以上にコミュニケーションの取り方に気を使うべきです。
言葉に誤解が生まれないように、言葉選びは丁寧に行い、細部まで言語化する必要があります。

さらに、専門用語や技術的な言葉を使うときは、その言葉の定義の確認も必要です。
また、開発中は定期的に進捗を確認やフィードバックをし、仕様や要求をしっかり満たしているか確認する必要があります。

最後に、そのプロジェクトの規模や内容、タイミングに応じて、メール・チャット・ビデオ会議など、コミュニケーションツールを使い分けることもポイントの一つと言えます。

ポイント③契約書、仕様書の作成

契約書類や仕様書の作成も非常に重要なポイントとなります。

契約書に明記しておくことで、相互の認識のズレを生じさせず、トラブルの予防をすることができるとともに、いざという時の証拠にもなります。
プロジェクトの範囲や納期、報酬、成果物の想定、エンジニアの技術や人数、セキュリティ、準拠法に関する規定(トラブルどちらの国の法律を適応するか)は明確にしておきましょう。

特にセキュリティに関しては、日本の規定と同じとは限らないので、しっかり確認するべきです。
また、セキュリティ管理については日系会社なら安心できるはずです。
さらに、仕様書には、イメージとしている成果物に期待している仕様や品質基準、テストの方法を記載することによって、開発者との認識のズレを防ぎ、期待通りの成果物が得られる可能性が高まります。

サービス紹介

オフショア開発のサービスについてご紹介いたします。
しかし、これらは一例であり、顧客のニーズに合わせて様々なサービスをカスタマイズできます。

その会社がどのようなサービスに対応しているのかは、会社のHPや直接お問い合わせすることをおすすめいたします。

①システムインテグレーション

システムインテグレーションとは、異なるコンピューターシステムやソフトウェアアプリケーションを連携させて、一つの統合されたシステムを作り上げるプロセスです。
また、システムやソフトウェアアプリケーションを1から作り上げることも、システムインテグレーションです。

システムインテグレーションには、APIの統合、データベースの統合、ハードウェアの統合などが含まれます。

②Web開発

Web開発は、WebサイトやWebベースのアプリケーションを開発することです。
これにはフロントエンド開発(ユーザーが見える部分)のデザイン、バックエンド(サーバーサイドのロジックやデータベース)の開発が含まれます。
Web開発は、会社のWebサイト、Eコマースプラットフォーム、ブログなどを作成する際に不可欠です。

③モバイルアプリ開発

iOS・Androidアプリの開発や、ゲームアプリの開発、モバイル向けWebサイトの開発などです。

④サポート&メンテナンス

メンテナンスシステムの運用支援ソフトウェアの更新とパッチ適用障害対応やトラブルシューティングです。

⑤最新テクノロジーを活用した開発

ブロックチェーン開発や、AIを活用した開発など、最新技術を活用した開発です。

ベトナムオフショア開発の推薦システム会社5社

1. インディビジュアルシステムズ株式会社

インディビジュアルシステムズは、2002年に創立した、1500件以上の開発実績を有する最古参の日系ベトナムオフショア開発会社です。現地の日系IT会社のパイオニアといってもいいでしょう。
この長年の実績から、1500件以上の確かな開発実績と、ノウハウが蓄えられています。

ベトナム側は、ホーチミン本社を含め4拠点、日本側は2拠点構えています。
オフショア開発事業に加えて、ASEANに進出する現地日系会社向けのSI事業も行っています。

上場会社様との取引が豊富であり、セキュリティ面やコミュニケーションの面でも安心です。

設立年2002年
社員数350名
得意分野基幹・業務システム開発

2. 株式会社バイタリフィ

バイタリフィは、2005年に設立した、アプリ、Webサイト、システム、AI、VR/AR、Unity、3Dなど、様々なジャンルの実績を保有する日系会社です。
リピート相談も90%以上のお客様から受けています。
特に、AI分野に強く、ChatGPTを活用したラボ型開発パッケージサービスを提供しています。

設立年2005年
社員数400名(グループ全体)
得意分野アプリ開発、AI

3. SHIFT ASIA CO., LTD.

ソフトウェアテストで有名な株式会社SHIFTのグループ会社です。
ホーチミンとハノイに拠点を構えており、ソフト開発や、テスト自動化のソリューション開発実績を有しています。
テストに強いといっていいでしょう。

設立年2010年
社員数不明(SHIFTグループの社員数は計11,302名)
得意分野テスト

4. 株式会社Sun Asterisk

2013年に設立した、東証プライム市場の日系システム開発会社です。
DX関連の開発実績が豊富です。

設立年2013年
社員数約2,000名(グループ全体)
得意分野アプリの受託開発

5. 株式会社IDS Vietnam

IDS Vietnamは、2017年に設立した会社です。
AWS、EC CUBE B2B、Web Application Services、Mobile Application Servicesといったサービスを展開しています。
また、IDS Vietnamの親会社であるIDSは、スマラボというラボ型開発に特化したサービスも展開しています。

設立年2014年(IDS Vietnam)
社員数130名(関連会社を含む)
得意分野ラボ型開発、インフラ

ベトナムオフショア開発の失敗事例

失敗事例①品質が低い

オフショア開発において品質が低い成果物が生じる主要な原因は、要件の不明瞭さとコミュニケーションの不足にあります。異なる文化的背景と言語の違いが、プロジェクトの目標や期待に関する誤解を生むことが多いのです。例えば、曖昧な表現や非具体的な要望は、開発チームにとって具体的な指針とならず、結果として品質の低い製品が生まれる原因となります。

具体的な解決策

品質が低いという問題は、明確なコミュニケーション、継続的なフィードバック、および適切な技術支援を通じて解決することができます。これらの措置により、期待に沿った高品質な成果物をオフショア開発で得ることが可能になります。成功の鍵は、明確な目標設定と開発過程での丁寧な監視・指導にあります。

失敗事例②納期が守られない

納期の遅れは、オフショア開発における一般的な問題です。これは主にプロジェクトの計画不足、コミュニケーションの障壁、文化的な時間感覚の違い、技術的な問題、およびリソースの不足によって引き起こされます。例えば、プロジェクトの要件が不明瞭であったり、開発チームとの間で十分なコミュニケーションが取れていなかったりすると、予期せぬ遅延が生じる可能性があります。

具体的な解決策

納期の遅れを防ぐためには、計画の初期段階からの明確なコミュニケーション、定期的な進捗チェック、リスク管理、および透明性の高いプロジェクト管理が不可欠です。これらの措置を通じて、予定通りの納期で高品質な成果物を提供することが可能になります。最終的には、プロジェクトの成功は、計画と実行の両面での優れた管理に依存します。

失敗事例③0→1で作る

オフショア開発で新規プロジェクトをゼロから開始する際には、多くの挑戦が伴います。これは、明確なビジョンの欠如、不十分な計画、および効果的なコミュニケーションの不足が主な原因です。新しいシステムや製品を開発する場合、初期段階での要件の不明確さや、開発プロセスにおける誤解がプロジェクトの失敗につながることがあります。

具体的な解決策

0から1へのプロジェクトは、特に明確なビジョンの共有、詳細な計画、定期的なフィードバック、適切な技術選定、およびリスク管理が必要です。これらの要素をしっかりと管理し、チーム全体で協力して取り組むことで、新規プロジェクトの成功を大きく高めることができます。最終的には、これらの措置が、新しいアイデアを現実のものとして実現するための鍵となります。

失敗事例④メンバーが流動的

オフショア開発では、プロジェクトメンバーの流動性が高いことがしばしば問題となります。ベトナムなどの国々では、エンジニアがキャリアアップのために頻繁に職を変えることが一般的です。これにより、プロジェクトの連続性が損なわれ、知識の伝達や品質の維持が困難になることがあります。

具体的な解決策

プロジェクトメンバーの流動性に対処するためには、ドキュメントの整備、知識共有、引継ぎプロセスの標準化、およびキーメンバーの継続的な関与が重要です。これらの措置により、メンバーの変更がプロジェクトの進行に与える影響を最小限にします。

失敗事例⑤予算オーバー

オフショア開発における予算オーバーは、特に共通の問題です。これは主に、不明確なプロジェクトスコープ、為替レートの変動、誤ったコスト見積もり、そしてプロジェクトの変更要求によって引き起こされます。特に、プロジェクトの要件が途中で変更される場合、追加の作業とコストが発生することが一般的です。

具体的な解決策

予算オーバーを防ぐためには、明確なプロジェクトスコープの定義、為替レートの変動への対策、進捗の定期的なチェック、追加コストの透明性の確保、そして強化されたコミュニケーションが重要です。これらの戦略を適用することで、オフショア開発プロジェクトのコスト管理を効果的に行い、予算内でのプロジェクト完了を実現することが可能になります。予算管理は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素であり、注意深く監視されるべきです。

さいごに

今回はベトナムオフショア開発についてご紹介させていただきました。
オフショア開発にある良い面、成功させるポイントについてご理解いただけたと思います。
疑問点などございましたら、お気軽にお問い合わせください。

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